烏  山  線
 夏の青春18きっぷの皮切りは烏山線の歩き潰しで始めることにした。同線の訪問は1966年8月、入社して初の夏休みに、当時まだ地域によっては重要な役割を担っていた“国バス”で、水郡線の常陸大子から烏山に抜け,途中滝駅で下車、龍門の滝で涼んだ。宝積寺まで乗ったキハ1163が混雑していたことを覚えている。あの頃のローカル線には大勢の人が乗っていたなー、、、

    (1) 宝積寺ーー大金 12.7K  2000年7月20日(木) 晴 33.5℃
前にも書いたが、宇都宮方面に首都圏から普通列車で出掛ける時、赤羽7:01発の快速ラピッドを利用する今朝のスジは、新宿からの接続も良く、到達時間も新幹線利用と大差無く非常に便利で、
この頃よく使わせて貰っている。
 
 
 烏山線:下野花岡駅  高根沢町民グランドを過ぎ、県道を渡り、その先の旧道を左折、沿道に農家が並ぶなか400Mで駅に。
 9:35 下野花岡駅着、片面ホームの無人駅、3.8KPあり、ホーム左手は広田、ここは何といっても駅右手すぐの麒麟麦酒栃木工場の存在が周囲を圧倒する。
 駅前の大駐輪場は日曜のせいか殆ど利用が無い。
 9:42 出発、線路近くに道が無く、烏山街道へとビール工場沿いに戻る。駅から街道までずっと同工場の敷地が続いた。

   下野花岡駅 2013年12月30日
 9:55 麒麟の工場を過ぎるとすぐ五行川を渡る、鉄橋は左手70M、4.4K辺りとなる。五行川はこの辺りでは小川だが、ずっと下って下館駅近くで水戸線を横切る時は、地域を潤す立派な河川に成長している。
 渡ると斜め左に伸びる道があり、駅への案内がある、道なりに徐々に線路に近付き、
10:10 伏久入口バス停を過ぎる、線路左手5Mを行き、住宅街に入る。進むにつれ住宅、商店がさらに数を増す。
 
10:20 仁井田駅に到着、片面ホーム1本だが、反対側にホーム跡地が残る、なお、烏山線開業当時、途中駅は当駅と大金駅だけだったとのこと。
 駅周囲には、ホームに隣接する高根沢高校以外何も無いが、駅に至る沿道の集落は大きかった。 





          下野花岡ー宝積寺 2013.12.30 →
   キハ401001+401005 →烏山 2.75K地点 

   

10:23 仁井田駅を出発、烏山街道が線路右手に次駅まで続く。
10:32 文挟バス停、これより線路も道路も前方に展開する低い丘陵地帯に分け入る、6.55K辺りだ、ニーニーぜみが暑さを掻き立てる。
10:45 小峠の頂点に達する、線路はやや低い切通しで抜け、7.8K地点、前後勾配は25‰、上りは1.3K、下りは次駅まで430Mほど続く。峠の前後は短区間、人家は全く姿を消す。 なおこの峠から南那須町に入る。
 烏山線:仁井田駅
 烏山線:鴻野山駅から仁井田駅方面を見る  10:51 鴻野山駅着、ホーム片面の無人停留場、8.3KPあり、烏山街道がすぐ右手を行く、左はすぐ田んぼ、丘陵も近い。
11:00 街道をちょっと行き、踏切で線路左手の道に移る。烏山街道は小川に沿って右に線路から逸れる。
11:07 東宇都宮CCの門前を過ぎる、ゴルフ場は鴻野山駅から続く細長い谷の両側の丘陵を占め、丘を結ぶ7〜80M長の連絡橋が線路を跨ぐ。
町の休暇センターに通ずる道が線路から離れる、小道に入ってさらに線路沿いに進んだが、10.3K地点で行止り、今更街道まで
戻る訳にもいかず、少し戻った所にあった踏切で線路右手に移ってみる。
右手も負けず劣らず寂しい所で、農家が時々現れる程度、
11:34 先刻引返した10.3K地点に至る、どうも1軒だけある農家への連絡道路だったようだ、それにしてもこの農家、なかなか立派な造りで写真を撮った。
11:40 宇田踏切で道なりにまた線路左手に、10.9K地点、ここまでの約1K、かなり寂しい区間で少々緊張して歩いた。 
11:47 道なりにクルマが普通に走る道に入る、線路は右手やや小高い所を築堤線路で進む。
11:57 右手5Mの築堤線路に11.5KPが立ち、ちょうどこの辺りで荒川がU字形に道路と線路にタッチしてすぐ去る、 
 
 烏山線:大金駅 12:03 南那須町役場前を過ぎる、役場の裏手を線路が行く、左手は段丘の下に肥
沃な平野が500Mほど展開、その先は荒川が流れる、先刻道のすぐ下を流れていたのに、この川の蛇行たるや本当に激しい。

12:10 大金駅到着、相対式ホーム、12.7KPあり、駅前はここも静まり返る。
この駅の標高は103M,、鴻野山から4.4Kの間に57Mも下り、結構な山岳区間だ。 

今日はこれで終了、駅から徒歩25分、観光ホテル内の温泉で一汗流していく。

          (2) 烏山ーー大金 7.7K  2000年12月2日(土) 快晴 
 今日は素晴らしい天気になるとのことだが、先週末の会社事務所引越しで少々疲れが残り、比較的短い楽なコースを選び、帰りは温泉でゆっくり休養できたら最高、、、と予定を立てた。しかし倹約して東武の株主優待を利用したら接続がまずく、宝積寺と大金で各1時間待ちが発生、また歩き潰しでも丘越えに手こずって時間を喰い、結局温泉には行けず仕舞い、それでも帰宅は20時過ぎになった。東武宇都宮線の初乗りと久し振りに釣掛け電車の振動を味わったのは良かったけれど、、、
11:20 20人ほどの下車客は迎えのクルマ、馬頭行JRバスなどで去り、一瞬の賑わいが静寂に戻るなか、烏山駅を出発。
駅は相対式ホーム、普段は改札口直結ホームを利用するようだ。宝積寺起点20.4K、時刻表を見ると夜間滞泊列車が1本ある。

駅出てすぐ茂木に通ずる国道に入り左折、
11:36 右手ちょっと小高い所に町の総合グランドを見て、国道がJRをくぐる手前で線路右手に沿う小道を見付け右折。なお国道の架動橋は19.4K辺り。 
  烏山線:烏山駅
 実はこの総合グランドのある低い丘陵を上って下れば、次の滝駅には三角形の底辺を直進する形となり早いのだが、線路は丘陵の裾を巻くように進む。なお、宝積寺から分岐して烏山を結ぶ烏山街道は、この丘陵の北側の地形的に優しい部分を抜けて大金方面に至る。 
  龍門の滝、滝の上を線路が通る 11:52 道なりに第2滝踏切を渡り、線路左手の自動車道に入る、18.1K地点、線路は右手河岸段丘の小高い所を進む。
12:00〜12:14 道路下すぐの「龍門の滝下の展望台」で休憩、観光客が時たま現れる。 
12:20 滝駅着、ホーム片面、駅舎は無い、17.5KPが立つ、現在3両編成対応、1両分ホーム延伸工事中、駅の開業は1954年と比較的新しい駅だ。

ホームから見ると、田んぼが250Mほど前方の低い丘まで続き、田んぼの中央を江川が流れる、鉄橋は17.3K辺りとなる。
さて次の小塙まで、間に南北に走る低い丘陵が横たわり、烏山線最大の難関(?)となる。線路は同線唯一の森田トンネル(356M)での山越えとなり、近くに道が無かったことは、往路車内より確認済みだ。 
道路の場合、北を行く烏山街道は小塙に寄らないので、線路から南に500M余離れた小道を繋げて辿りつくことになる、いかにも地形に影響された曲りくねった道で、面白味は無いが確実だ。
しかし自分としてはこの際、滝駅前方に控える丘陵に一応足を踏み入れてみることにした。

12:30 江川を渡る、鉄橋は左手200Mを行く。
 
 烏山線:滝駅
江川を渡るとすぐ前方の丘にぶつかる、丘中に分け入る道を見付けるのに手間取り、
13:09 やっと見つけて入った小道の脇にあった民家の主婦に道を聞いた、人が居たからいいが、もし誰にも聞けなかったら、途中で引き返していたかもしれない。
ちょっと行くと尾根筋に出る、何しろ丘の高さは6〜70Mしかないのだ、尾根を行く舗装された小道は言われた通り左折、そして途中2度ほど、小塙方と思しき方向に下る山道に入ったが、林の中で行止りになり(そうで)引き返す、「シイタケ栽培の種木を盗んだら厳罰に処す」との立札もあった。

しかし途中短い間だがたまたま樹林が切れて、先刻歩いた田んぼや江川の静かな流れが見え、心が和む、あの辺りの田んぼは1枚1枚が狭く不揃いの昔のタイプ、もうかなり貴重品になって来た。 
13:25 下り始めた尾根道をしばらく行く、すると線路方向に進む自動車道にぶつかり、右に入る。内心ホッとするが、要はトンネルの口(16.9K地点)からちょっと入った辺りを掠めて丘を下り、線路の南側を迂回する小道に途中から入ったに過ぎず、かなり恥ずかしい「冒険」をしてしまった。
13:35 道なりに下り、森田集落に入る。
この後このような複雑な地形では不自然に見えるくらい真っ直ぐの自動車道を500Mほど行き、三叉路を右に曲がる。
13:50 森田踏切を渡り線路右手に、16KPが近い。なお下りの場合、この踏切の先から上り勾配で丘中に分け入り、切通しを経て16.6K辺りから森田トンネルに入る事を、今朝車内から確認済み。
  烏山線:小塙駅 14:00 小塙駅到着、片面ホーム、ここのホームも延伸工事中、15.3KPあり、ホームの左手は田んぼ、荒川が東側を除き人工的な堀割のように、半径400Mほどの半円形をもって駅を取り囲む。しかも対岸は2〜30Mの垂直の崖で自然の要害だ。
この先大金に行くには荒川を渡らねばならぬが、その橋は駅から100M先の鉄橋以外見当らない、それでまた先刻の三叉路まで戻る羽目に。

14:24 荒川を渡る、
14:37 道なりに河岸段丘の上に出て、ちょうど真横500Mの田んぼの中に小塙駅、荒川に取り囲まれた小塙の小盆地、後ろに控える先刻ちょっと足を踏み入れた丘陵を見る。
それにしてもこの辺りの荒川の蛇行状態は凄い、確か久留里線に沿う小櫃川の蛇行がやはりこんな感じだったと思うが、、、
14:43 大里公民館を過ぎ、道なりに下って畑中に出ると、右手から線路が近付き道路と並び、
15:02 踏切を渡り線路右手の自動車道に
入る、13.6K地点、線路反対側は70Mで杉林の台地。
15:13 大金駅に到着、今さっき自分を追越した列車が3分前に出たばかり、今日はこんなことが重なる日だな、、、  

 これで烏山線の歩き潰しを完了したことになる、開業当時の途中駅が仁井田と大金だけだったことからも推察できるように、同線は宇都宮と烏山、馬頭を直結する路線だった。その後の道路網の発達が、鉄道利用より短時間、低料金でのクルマ利用を可能にした現在、烏山線の利用者が高校生、高齢者を主体とする“交通弱者”に偏っていることは否めない事実だと思う。
それにしても「キハ40系はいい加減どうにかしてもらいたい」と鉄道ファンの自分でさえ思う、特に加速力の低さは、エンジン換装をしてさえあの程度では致命的だ、25‰区間が結構多く、勾配路線の性格が強い烏山線での利用はそろそろ考えてはどうだろうか?首都圏の非電化ローカル線は少なく、目に付きやすい、費用対効果だけでなく、広報的な側面からの考慮も必要かと考える。                                                



       
     高根沢町:元気あっぷらむら温泉 12:35〜14:45在 2013年12月30日


           建物1階右端が車寄せ
場所:烏山線鴻野山駅より徒歩でちょうど1時間。路線バスは無く、宝積寺から無料連絡バスが数本、道は駅から南に向う自動車道は1本、歩くくらい物好きな人には安易な道、途中、何度か日光連山などの眺めが素晴しい個所あり。
建物:町営公園の丘の一部を占め、ハード面では公営温泉のトップクラスだろう。
風呂場:主浴槽を仕切るガラス窓は幅20Mの広幅、金を掛けている、2階の大広間もゆったり、男体山・那須山の眺望も言うこと無し。
お湯:無色、やや塩辛く、アンモニア匂が少し(あったと思う)、ナトリウム塩化物泉、湧出量400L/分,70℃、建物が立派過ぎ、湯その物はやや影が薄い。
その他:帰りは無料マイクロで宝積寺駅に、相客は皆80台の、クルマの無いご婦人ばかり4名。