日  光  線

  これまで41回の“歩き潰し”を行い、営業キロで450K余を歩いた。昨年10月、関連会社移籍に際し健康維持の目的で始めたことだが、やってみると当初予期しなかった面白さも判り、当分続けようと思っている。
 しかしこの”歩き潰し”は徐々に近間の目的地が無くなり、時間と経費が増すことが欠点だ。それで
今回は、学生の休暇期間に合せ発売される「青春18きっぷ」に着目、経費の節減を図ることにして、宇都宮にやって来た。東北本線はまだ大宮で止っているが、空白区間は追々潰すことにしよう。

   (1)宇都宮ーー鹿沼 14.3K  1998年8月22日(土) 曇り薄晴れ 27.9℃
8:32 宇都宮駅西口出発、新幹線高架を左に見て、駅付近の小ビルが建込んだ地区を歩くこと5分、片側2車線の南大通りに入る。沿道には中小事務所、レストラン、住宅などが並ぶ。
 線路は左70Mを行き、その先に新幹線高架が並走するが、駅から400Mほど先で、在来線が道路共々右手に曲って分れる。 
9:05 駅から30分ほどで田川を渡る、鉄橋が左手200Mに見える。渡ってすぐの2K地点で、日光線
が東北本線から右に分れ、近付いてきた台地の中へ分け入るのは、先刻車中から確認済みだ。
 南大通りも緩い上り勾配で台地上に出て119号線にぶつかる、左に行けば東北線雀宮方面に至るが、今日はそのまま急に細くなった住宅街の小道に進み、程なく日光線の踏切を渡る、ちょうど3KP
あり。 この先、左に富士重工の広い工場や宮原球場、右に線路を見る道が1Kほど伸び、整備された遊歩道もあり快適な歩きができる。線路右手は住宅街、富士重工関係の社宅も多い。
 9:58 鶴田駅着、ホームは島式、以前は駅舎直結片面ホームもあったようだ。宇都宮駅の日光線ホームは1面のみ、この駅で交換する列車も多い。4.8K地点。
駅前は5階建てのビルが1棟、あとは一般住宅、左手(南側)もすぐ住宅地だが、電車に乗るには宇都宮寄りの踏切を渡る必要がある。実は自分もこの住宅地に迷込み、引換す羽目になった。
鶴田よりは線路右手すぐの道が500Mほど伸び、杉林にぶつかる。5.5KPあり、線路はその中に突っ込み、道路は右に林を巻く。
薄暗い林の中に砂利の小道があった。
 日光線:鶴田駅
杉林は鳥もセミも鳴かず不気味なほどに静まり返りちょっぴり緊張するが、250Mほどで抜け、田んぼの中に出ると、夏の稲穂の乾いた匂いが風に運ばれてきて、ホッとした気持ち。点在する農家は常緑樹を背にして建ち、通用門を兼ねた2階建作業倉庫を持つ立派な構えが多い。 
道なりに楡木街道踏切に出て、線路沿いの小道を300Mで平地は尽きる、7.4K地点だった。
この辺り小さな起伏が多く、点在する小平地はビニールハウスが占める、田んぼは殆ど無く、農家の構えも小さくなった。
線路に絡みながらその両側に点在する小集落を結んで丘中の細道が続き、坂上の小学校に寄るなど能率が悪いが、これしか道は無い。里人の姿は殆ど見ないが、家々には犬がおり、1匹が吠えると集落全部の犬が吠え出すのには閉口する。
第一上石川踏切(9.5K)からは線路進行右手すぐの道があり、5分ほどで東北自動車道の下をくぐる、その先も同じ道を行き、段々平地が拡がり、ネギ畑など目に付くようになる。
11:55 前原踏切で進行左手に移ると、ロードサイド型の大型家具店があり、ここから新しい道が伸び、売出中の建売住宅も並ぶ、畑も所々残るが、鹿沼市街地の端に入ったようだ。
送電塔の下で一時道路がはっきりしなくなったが、さらに広い線路方向の道に出て住宅街を約1K、

12:32 鹿沼駅に到着、鶴田駅から営業キロで9.5Kを2時間半ほどで歩いた。結構人里離れた山深い地区を歩いた感じがするが、宇都宮と鹿沼を結ぶ鹿沼街道は日光線の北側3〜4Kを通り、日光線沿いには集落を結ぶ生活道路しか無いようだ。 


 日光線:鹿沼駅 駅前広場は小さく、バス停はあるがバスの姿は無く、タクシーが2〜3台待つだけ、第一商店の姿がないのが不思議、小さな駅前旅館が2軒、あと飲み屋が5〜6軒、駅の反対側はすぐ林で、勿論出入口は無い。街の中心街は西に1.5Kほど離れるが、JR駅周辺がこんなに寂しい所とは知らなかった。
 まだお昼時だが、本日はこの鹿沼駅で打上げとする、次の文挟駅まで営業キロで8.1Kあり、ちょっときつい。その代りに宇都宮駅からバスで45分の日帰り温泉「ろまんちっく温泉館」に行くことにしたが、詳細については別途項を改める。 


           (2)鹿沼ーー今市  19.6K  1999年6月5日(土) 晴

 北千住7:10発と思い込んでいた東武快速がいつの間にか10分早く出るようになり、7:20発の座席指定急行に乗車する羽目になった、¥1,070の追加出費だ、しかし新鹿沼で追いついた(てもしょうが無いが)快速列車はまだ満席、急行は2人分の席を占領、靴も脱いでくつろげたのだから、よしとしなくては、、、
新鹿沼駅からJR駅までは2.5K、歩きを覚悟していたが折よく関東バスが接続、病院など幾つか廻り遠回りはしたが、15分で連れて行ってくれた。 


 9:04 鹿沼駅を出発、線路方向の広い道を行くと、すぐ線路を跨ぎ北に去る。その先も小道があったが、いったん線路から遠ざかる形で、南に住宅街の道に入る。
 9:20 黒川の左岸に到着、駅前から国道を来れば600Mほどのところ、グルグル回ったので時間が掛った。ここから堤防沿いの道を約1K、黒川御成橋に至り、道なりに国道121号線に入る、杉並木で有名な日光例幣使街道で、この先谷が狭まり、緩勾配で台地の上に出る。今日は日差しが強く蒸し暑い。この辺り杉並木は点在するもののまだ本格的ではない、いつの間にか右手150Mに線路が平行していた、樹林が邪魔して見えなかったのだ。
10:40 杉並木の中で今市市に入る、並木の手入れが「イマイチ」良くなる(?)、途中道路拡幅で削られ、小さくなった一里塚があった。
線路も市境の手前1K辺りから、道なりに右手近くを平行した。 
 




 日光線:文挟駅、手前は日光例幣使街道、
11:15 文挟駅着、狭い駐車場が隣接する無人駅、相対式ホーム、22.4KPあり。小駅舎は貧弱な造り、トイレもこの頃貴重な文化遺産(?)になりつつある昔風のもの。
駅のすぐ先で、線路北側を来た街道が合流するが、これは宇都宮市街から直接日光を目指す道で、杉並木としてはこちらの方が有名らしい。
さらに街道を進むが、この先かなり長い間歩道が無く、路面は杉並木より1Mばかり掘下げられ、大型トラックなど来ると逃げ場が無く恐い。この街道結構危険個所が多く、
“ロマンチック街道”とはよく言うよ、、、
板橋という集落に入る、文挟駅より約4K歩いた、ここから線路が右手の台地の端を行き、そのまま
直進する街道から離れ、その間は浅い谷合に田んぼが展開し、農道が伸びるのも見える。
 大型車が恐い街道を避け、下の田んぼの舗装農道を行く、風格のある落着いた農家も点在し、こちらの方がよほどロマンチック、1Kほどで谷の奥に達し農道も行止り、ちょっと不安だったが、樹林の細道に分け入り、山鳥親子を驚かせたりして台地上に抜け、適当に歩くと住宅地の端に出た。
ある筈の線路は浅い切通し2M下に隠れ、日光方100Mの跨線橋へ遠回りして駅舎に。 
 
13:03 迂回して線路東側の下野大沢駅着、ホーム相対式、駅員1名、28.3KPあり、駅前は商店が数軒ある程度、駅前公園は造成中だった、案内図によると大沢集落は東方2K近く先だ。
文挟から営業キロで5.8K、この間65Mほど上ったが、歩いているとそれは感じない。 
13:22 出発、線路右手すぐに道が伸び、左側に鬱蒼とした鉄道防風林が平行、これだと南西風しか受けないが、これでいいのかな?
13:50 日光宇都宮高速道の下をくぐる。
 日光線:下野大沢駅
築堤を行くのが東武日光線、 写真後方で日光例幣使街道に入る。 14:01 道なりに踏切で進行左手に、31.3K地点、なおこの80Mほど手前で東武日光線がJR線を跨ぎ、北側に移っている。
一般的にJRと私鉄だと、前者の方が線路規格は一段上だが、この場合、昭和の始めに完成した東武の方がまず複線だし、直線も多く、しっかりした造りに見える。
前方100Mに先刻分れた日光街道の杉並木が見える。 
 杉並木の街道をしばらく行き、
14:28 道なりに踏切(33.05K)で線路右手に、先刻の踏切から1.7Kほど、27分要した、少々疲れが顕在化してきたなか、住宅街の単調な道をノロノロ進む。
14:47 今市駅着、跨線橋で連絡する島式ホームが1本、改札口直結の片面ホームは柵が設置され、使用不能。駅前広場は、隣接して小社屋がある通運会社のタクシーに占領されていた。
 鹿沼から今市まで約20K、この間に231Mばかり上ったことになる。
 
今回は東武鉄道の株主優待を入手しており、古びた旅館や駄菓子屋などが並ぶ駅前大通りを歩くこ
と500M、

15:02 東武鉄道下今市駅に到着、10分後に出る快速で北千住駅に16:55着、6050系の乗心地は
なかなか良かった。



        (3)日光ーー今市 6.6K
  1999年9月12日(日) 晴
 日光線の標記区間が残っている、この区間は大谷川の造る細長い扇状地に線路、街道が集中、JR線と東武日光線は杉並木で有名な日光街道を介し4〜500Mの間隔で並び、出だしの日光駅付近ではその間はさらに狭い。
 線路沿いには日光街道以外に道は無く、“歩き潰し”としては素直な区間で取組み易く、今日は日帰り温泉も訪問して、気楽に歩きたいものだ、、、








 日光駅は木造2階建て白塗り、さすが日本を代表する観光地の玄関だけに格調高い造りで、貴賓待合室もある。ホームは駅舎直結片面ホームに島式ホームが1本。
駅前食堂、商店も何となく上品、300Mほど離れた東武日光駅に比べ、雰囲気は数段上だ。但し乗降客は東武の30%程度らしい
 9:34 日光駅出発、有名な日光杉並木の遊歩道をしばらく散策、案内に従い左折、JR,東武線を横切り、新興住宅街に出る。
 
 右に東武の築堤を見て住宅街を今市方に進むと、七里公民館前に出る、これは先刻東武線の車内からも見えた。その先住宅街の一番外れ、樹林帯が迫った辺りに小さな建物があり、クルマが数台停まっている。
 9:50 日光温泉浴場に到着、開場は10時からでちょっと待った。

        日光温泉浴場  10:00〜10:20入浴、¥400(市民は¥200) 
場所は東武日光駅から1.5K地点、写真に見る通り、築堤脇にある。
更衣室は区画が16、オープンスタイル、貴重品は100円リターン式靴箱に。
三角形の湯船は5〜6人で満員、洗い場は4、サウナ、ジャグジーの類は一切無いお湯は無色透明、無味、無臭、アルカリ性単純温泉、湯量は湯船が狭いせいもあるが豊富、43℃くらい、
これだけ狭いと、他家の内風呂に1人もぐり込んでいるようで、居場所が無く、早々に退散するしかない。 
 
10:25 汗も乾かないうちに出発、街道に戻るのがコースだが、前回杉並木は十分堪能しているので、前の林に突っ込む、ツクツクボウシの鳴く寂しい道で、時々軽自動が通る。いつの間にか左手に2M高の堤防が近く、大谷川の瀬音が聞こえる。この辺り大谷川の遊水地なのかもしれない。
右手に分れる道に入ると、獣害防止ネットが張られた狭い田んぼなども現れ、時々鳥除けの爆竹音も響き、初めのうちはビックリ。
10:57 東武日光線の築堤をくぐり杉並木の遊歩道に入る、この辺り車道は杉並木の外側を行き助かる。
11:17 杉並木公園に到着、ボーイスカウトの団体が入り賑わっていた、敷地の北側が東武線に接し、上今市駅にも近い。
また杉並木に戻り、神社のある角を右に。
11:40 今市小学校前を過ぎる、この辺りには法務局、郵便局も並びこの街の中心部のようだ。
11:57 今市駅に到着、これで日光線の“歩き潰し”が完了、今回は日光駅周辺以外、JR線路は殆ど見ないで来た、日光駅より11,200歩だった。



 まだお昼時、これから半日かけて今市市営の日帰り温泉で休養する積りだ、往路は歩きたい、なにしろ自分の訪問した日帰り温泉は、その殆どが自宅から足で繋がっているのだ、、、念のため駅前のバス停時刻表を見ると、おいおいどうしよう!12:12に温泉直行バスが出る、次は15:12発となるので、予定していた昼食を延期、このぐっどタイミングを生かすことにする。
関東バスの停留所にやって来たのは「今市市営」と掲示した19人乗りのマイクロ、自分以外の乗客は途中乗車の中年男性が1人だけ。
12:40 かたくりの湯に到着。場所は今市市街から北東に10K、大谷川が鬼怒川に合流する手前の段丘左岸に位置、周囲の山々など見晴らしは良い。歩く場合は東武藤原線の大桑駅からが、東に6K位とかなり近い。


      今市温泉:今市市温泉保養センターかたくりの湯  
         12:50〜15:50在、 ¥500
1階が受付、食堂、仮眠室、2階に浴室、休憩室がある。
主浴槽は20人が楽に入れ大きい、ジャクジー、サウナ、水風呂とあったが、露天風呂は無かった(ヘンだね、、、)
お湯は無色、無味、無臭、平凡なアルカリ性単純温泉。
帰りのバスは16時発、ゆっくりお湯に浸かり、サウナと水風呂を往復すること数度、その後仮眠室で昼寝もした。缶ビール(大)は¥400
カラオケステージ付きの
 
 今市市温泉保養センター:かたくりの湯, 手前は今市行市営バス
休憩室もあり、利用は地元の人ばかりに見えた。
この温泉はお湯よりも眺望、食事、カラオケが「売り」だろう、公営施設としてはなかなか立派な部類に入る。
 ここは温泉をゆっくり楽しんだ後、気楽に歩ける様な所にはなく、帰りもバスに乗った、帰りは下今市駅入口で下車、¥570、30円安かった。